留学行けば人生は変わりますか? ー4

「My hip become flat」5〜7日目

友達が増えてきた。頑張って休日のクラスにも顔を出していたら、中国人のクライスメイトと仲良くなった。サマーとカレン。聞くと、二人とも中国の大企業で働いているらしい。

 

春節に合わせて休暇をとり、IELTSの点数を上げるためにここにきたと言う。ちなみに中国人で大学生は見たことがなかった。私が知り合った中国人の生徒は、全て働きながらか、休職して英語を学びにきている社会人だった。文化の違いに驚く。

 

社会人同士ということもあり、話も合った。街にご飯を食べに行こうと誘ってくれたので、もう一人のクラスメイトである日本人社会人ヤスと四人で初めての外出。

 

彼女たちはとても親切に街を案内してくれた。なんだか全て受け身の自分が恥ずかしくなる。

 

彼女たちは私よりも2週間先に来ており、2週間後に帰るという。

 

この頃の私の悩みは「思っていることが10分の1も言葉にできない」ということ。

「なんかこのお肉四角すぎない?」とか

コロコロコミックの世界観だね」

とかヒトボケかましたいのに、これらを全然英語にできないのだ。

 

その結果、寡黙な日本人として振る舞うのみ。

日本ではおしゃべりなムードメーカーだったのに。。

 

四人でトゥクトゥクに乗った。硬すぎる椅子に窮屈な車内だが、楽しい。

降りた時にヤスが言った。

 

「My hip become flat

 

サマーもカレンも笑っていた。

なるほど。まず、口に出すことが大事だな。寡黙な日本人やっている場合じゃないわ。

留学行けば人生は変わりますか? ー3

「Hunt a boy」2〜4日目

レベル分けテストは思っていたより難しかった。簡単なものかと思っていたら、TOEICレベルのテストで驚く。

自分のできなさにも驚きながら、3時間のテストを受ける。そのあとはガイダンスだ。

私はイングリッシュネームをLilyに決定。ハリーポッターが好きだからだ。

 

学校の人種比率は3割韓国人、2割日本人、2割中国人、その他モンゴル人、台湾人、ベトナム人サウジアラビア人といったところだ。

日本人は大学生が8割、社会人が2割。社会人は看護師さんが多かった。

 

私はレベル1に振り分けられ(レベルは10まである)、2日目から早速授業だ。

授業は1日9コマ。ワンツーマンが5コマ、グループ4コマ。加えて毎日最後に確認テストがある。結構疲れる。

 

ところで、心配していたルームメイトとの生活だが、思ったより快適だ。

学生ながら彼女たちは大人で、とても優しい。

しかも二人ともレベル6なので、流暢な英語で私に話しかけてくれる。

 

ワンツーマン授業では何回も同じ質問をされて、正しい文法で回答できるように練習する。

授業のおかげか、4日目で文章で話せるようになってきた。最初は単語でしか回答できなかったのに!

 

1〜3日目はルームメイトと同じ部屋にいるのを避けるようにしていたが、若干話せるようになってきたことで、徐々に会話が増えた。

 

ティアラはどうやら好きな子がいるらしい。

いつの時代も女同士が仲良くなるにはガールズトークが必要だ。

 

「Lily、Do you have boyfriend?」

「No、But I want」

「Oh!So we should hunt a boy!!!」

「Hunt….」

「Hunt!!!」

 

男の子をHuntするとはなかなか良い姿勢だと思う。受け身の私とは正反対だ。見習おう。

 

留学行けば人生は変わりますか? ー2

「Shh…」0日目

ゼブ市内の語学学校に到着。ここで3ヶ月を過ごしたのち、北米に2ヶ月滞在する予定だ。英語初心者には、ワンツーマン授業が多いフィリピンが良いと進められて、ここに決めた。学校の寮には300人近くが暮らしている。私は三人部屋の予定だ。

 

学校に到着したのは、22:00を超えていた。水や歯ブラシを渡され、特に説明もないまま三人部屋に到着。部屋の扉を開けると、すでにライトが消されており、女の子が髪を乾かしている。

 

ルームメイトは韓国人の大学生が2人。

ティアラとゴールドと名乗った。(語学学校ではイングリッシュネームという呼びやすい名前で呼ぶのが通例らしい)

どうやら二人は同時期に来たこともあり、仲が良さそうだ。

ティアラは19歳。可愛らしい雰囲気で明るい。

ゴールドは21歳。大人っぽい、聡明な雰囲気だ。

 

二人はかなり流暢な英語で部屋の説明をしてくれた。シャンプーを貸してくれ、いろいろ聞いてくれる。

が、私は名前くらいしか言えなかった。昔好きだった韓国人俳優の名前をあげたが、反応は薄め。どうやら世代がかなりちがったようだ。

 

気まずくなり、寮のロビーにおりて、家族に到着連絡をするなどして20分ほど時間を潰す。これで共同生活は可能なのか…

 

部屋にもどると、ちょうどゴールドがベランダからでてきた。どうやら電話をしていたようだ。私は冷房をさげたかったので、声をかけようとした瞬間、

ゴールドが号泣しだした。

 

ええっ

何が…?!

 

するとティアラが抱きしめながらゴールドを韓国語で慰めている。

 

「わ、ワットハプン…?

と辿々しい英語で聞くと

「Shh…」

とティアラが唇に指を当てた。

 

ここは何も聞かない方がいいのか。ロビーに引き返し、ツイッターを眺める。が、フィリピンはWi-Fi

壊滅的に弱いようで、5時間前くらいの更新で止まっている。

もうみたツイートを復習して、時間を潰す。めちゃくちゃ日本人に話しかけたくて

ロビーに座っていた日本人ぽい生徒に「日本人ですか?」と話しかける。

 

「そうだよ〜。New Student?」

「そうなんです!!なんかルームメイトが取り込み中で入れなくて」

「ルームメイト何人?」

「韓国人が二人ですね」

「あ〜それは私的にはハズレだね」

「何ヶ月くらいいらっしゃるんですか?」

「2ヶ月だよ」

「英語話せるようになりました?!」

「ならないよ」

 

前途が不安になりながら部屋に戻ると、ゴールドがシャワールームに入っていていなかった。

心配そうな顔をした私にティアラが「It’s OK」と声をかける。

 

この調子でやっていけるのか。

不安になりながら、明日のレベル分けテストに向けて眠る。

留学行けば人生は変わりますか? ー1

「Are you hungry?」0日目

2月10日、今日から私は5ヶ月間語学留学に行く。セブとカナダだ。
5ヶ月でどれくらい話せるようになるのか試してみたくなったのだ。
会社の上司に相談すると、仕事で英語を使うこともあり、休職を認めてくれた。

 

出発日は母と弟が見送りに来てくれた。
初めて日本を長期間離れることもあり、涙の一つでもでるかと思ったが、海外渡航に慣れていなさすぎて「次はこの手続きをして、この手続きをして、、」と考えている間に
フライトの時間となった。

ちなみに出発前のTOEICは480点。

会社でどれくらい英語が話せるようになるか知りたいから、いったん今の実力でなぜ英語を話したいのか英語で言えと言われて

「ビコーズ、アイウォント、、」で止まった。

 

これがどこまで上達するか楽しみだ。

成田からマニラで飛行機を乗り継ぎ、セブに。12:00成田発で21:00セブ着予定だ。

8時間超のフライト。節約のために機内食をスキップしていたので、お腹がすく。
喉も乾いていたが、保安検査でペットボトルを没収されてしまったため、6時間近く何も飲んでいない。
母が持たせてくれた煎餅とガムで凌いでいたが、限界が来た。
機内でなにか買おうと、CAさんに声をかける。なんと現金のみ。ペソを持っていなかったので
諦める旨を伝える。

「Are you hungry?」
「イエス バットアイドントハブマネー」
「Ohh… Do you want something to drink?」
「イエス…  バット…」

と答えると紙コップに水を入れてくれた。

この黄色い紙コップを支えに半年頑張ろうと思った。

 

本当のことを言うと、英語が話せるようになりたいというより、人生をなんとかしかった。
アラサー、仕事もプライベートも明るいとは言えない現状。
実は楽しみよりも、苦しい気持ちで渡航したのだ。

そんな私に渡された黄色い紙コップ。
夜のフィリピンは暑かった。日本は冬だったので、コートを着ていたが、すぐに脱ぐ。
すぐに学校の送迎車が見つかり、乗り込んだ。